ドメインコントローラー委任設定

cifs委任のサービスが選択できない

統合Windows認証やSAML認証のシングルサインオンの仕組みでは、Kerberos委任によりSPN(Service Principal Name)[1]で名前解決を行ってファイルサーバーに接続できるようにします。

DNSエイリアス(CNAMEレコード)をホスト名としてファイルサーバー接続している環境では、ドメインコトローラーでのcifs委任設定時に、対象ファイルサーバーのSPNが表示されないことあります。

ドメインコントローラーでは、DNSのAレコードに対応するSPN(CIFS/実際のサーバー名)が委任設定の選択肢に表示されますが、CNAMEレコードで参照される名前に対応するSPN(CIFS/CNAME名)は自動表示されないため、SPNの手動登録が必要です。

SPNの登録

SPNの登録はsetspnコマンドで行います。

setspn -A HOST/<DNSエイリアス> <ファイルサーバーのコンピュータアカウント名>

コマンド実行例

下表の環境例を対象としたsetspnコマンドの実行例です。

ドキュメントルート

ホスト名(Alias/CNAME)

実際のホスト名(Aレコード)

\\PHENIX\robita

PHENIX

SARUTASV01.nipponmyth.com

  1. setspnコマンドを実行します。(念のため2行を実行します)

    setspn -A HOST/PHENIX SARUTASV01
    setspn -A HOST/PHENIX SARUTASV01.nipponmyth.com
    
  2. コマンド実行すると次のように出力されます。

    C:\Users\Administrator>setspn -A HOST/PHENIX SARUTASV01
    ドメイン DC=xxx,DC=xxx を確認しています
    
    CN=SARUTASV01,CN=Computers,DC=xxx,DC=xxx  ServicePrincipalNames を登録しています
            HOST/PHENIX
    
  3. SPN登録の結果はコマンドsetspn -Lで確認できます。

    C:\Users\Administrator>setspn -L 
    次の項目に登録されている CN=SARUTASV01,CN=Computers,DC=xxx,DC=xxx:
            HOST/PHENIX
            HOST/PHENIX.dc.nspc.nipponmyth.com
            ...
            ...
    `HOST/PHENIX`で始まる行が追加されていれば登録成功です。
    
  4. ドメインコントローラー委任設定の[サービスの追加]ダイアログで、CNAMEレコードのPHENIXが選択できるようになります。

ファイルサーバーがKerberos委任に非対応

ファイルサーバーがKerberos委任に非対応の場合、ドメインコントローラーでの委任設定をしてもFileBlogで対象ファイルサーバーに接続することはできません。

フォームログイン認証の昇格

登録されたID/パスワードによりフォーム認証された状態に昇格させて、シングルサイオンを実現する仕組みで、統合Windows認証(またはSAML認証)の環境でもKerberos委任に非対応のファイルサーバーに接続できるようになります。

  1. [管理ツール > 設定全般 > WEBサーバー > 認証 > 統合Windows認証]を選択します。

    ../../_images/20250528-145038-242.png
  2. [WebServer/Authentication/Windows/RequirePostLoginElevation]を選択し、チェックを入れて有効化します。

  3. [WebServer/Authentication/Windows/ElevationPasswordRetentionTime]を選択して昇格用パスワードを保持する期間を指定します。

    ../../_images/20250528-145319-600.png
  4. [保存する]を選択してサービスを再起動します。

  5. 初回の統合Windows認証(またはSAML認証)に成功後、パスワード入力が求められます。

    ../../_images/20250528-151029-428.png
    • ここで入力したパスワードはFileBlogのデータベースに暗号化されて保存されます。

    • 以降はパスワード入力なしにシングルサインオンになります。

    • ElevationPasswordRetentionTimeの指定期間が過ぎると登録情報は破棄されて、次回の接続時に再びパスワード入力が求められます。

    • パスワード入力画面には任意の情報(説明など)を表示させることもできます。